2022年3月9日(水)
『あしやのきゅうしょく』という映画が、近くの映画館で3月4日から公開されていました。近々に観に行こうと考えていたら、3月10日終了予定となっていたので、慌てて行ってきました。

兵庫県芦屋市の市制80周年記念プロジェクトの一環で、芦屋市出身の白羽弥仁監督が記念映画作りに起用されました。
芦屋市としては当初は違う構想だったようですが、白羽弥仁監督が1冊の本を目にして、それが芦屋市の学校給食のことだったようです。
自治体主導の映画としては、4年前にトラさん達が住んでいる街を舞台にした『星めぐりの町』を観ました。知っている所が映るのはうれしいのですが、ストーリーがトラさんとしては低評価でした。

『あしやのきゅうしょく』はトラさんとカウちゃんの地元が舞台ですが、自治体主導の映画では過去の苦い経験もあり、あまり期待はしていませんでした。
映画を観ていると、しっかりストーリーになっており、引き込まれていきました。
芦屋川沿いの桜並木が美しいシーンや、昨年秋にランチをした石造りのレトロなアパート(旧宮塚町住宅)に入っている「ムジカ」、ツタで覆われている打出図書館がロケ地に使われていたり、トラさんに取っては見ごたえもありました。
旧宮塚町住宅(芦屋市)訪問
トラさんが「おおっ」と反応したのが、打出図書館に隣接する通称おさる公園(打出公園)のシーンでした。
ネタばれになってしまいますが、このおさる公園は村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」の冒頭のシーンに出てくる所です。

その公園で小学校6年生の女子生徒がちらりと「海辺のカフカ」を見せて、この作家の本を全部読みたいんだ、と言っているシーンのさりげなさがニクいね!と思いました。

村上春樹という名前も出てこないし、映像でも見えませんでした。
小学校6年生の女子生徒が村上春樹を全部読んだら拒絶反応を示すシーンがたくさんあるのでは…というツッコミはしたくなりますが、それも含めての脚本でしょう。
村上春樹は京都生まれと紹介されていますが、お父様のお仕事の関係で芦屋や西宮に住んでいたことがあるようです。
お父様は進学校で有名な私立中高一貫校の「甲陽学院」で国語の先生をしていたそうです。最後は中学校の校長も務められたとか。
村上春樹の出身中学はこの映画『あしやのきゅうしゅく』のモデルになった精道中学校です。もちろん彼が通っていた頃に中学校に給食はありません。精道小学校もモデルになっています。
ちなみに、村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」は1981年に映画化されていますが、監督の大森一樹も精道中学校出身です。村上春樹の3学年下になり、六甲学院高校から京都府立医科大学に進学して映画監督になっている異才です。
また、村上春樹の出身高校は神戸高校で大学は早稲田大学です。
現在の兵庫県の高校は全県一区なので、兵庫県内の中学であれば兵庫県内のどこの高校を受験しても良い制度です。
当時は芦屋市は1つの学区、神戸市は3つの学区にわかれていました。芦屋市と隣接する神戸第1学区と芦屋学区は特定の中学校に関しては相互乗り入れが認められていました。
芦屋学区でも超優秀であれば神戸第1学区のトップ校である神戸高校へ行くことができると聞いたことはありますが、トラさんが学生の頃にそんな人はいませんでした。
村上春樹の小説を読むようになってから、経歴をみると精道中学校から神戸高校に進んでいるので、あの伝説の人だったのか、と尊敬してしまいました。
ところが、彼の小説に出てくる高校生活はトラさんの聞く神戸高校のイメージとはかけ離れています。大学生活も違和感がありました。
おそらく、村上春樹が属するいわゆる団塊の世代は人数も多く競争が厳しい反面、あまり監視もされていなかったので好き放題な生活ができたのではないかと考えられます。
今のアラ還世代はベビーブーム世代末期に分類されますが、出生数も少し減り、比較的落ち着いた世の中で生まれ育ったので、団塊の世代の環境とは全く違うようです。
地域や地区によっても差はありますが、世代でも結構な差はあるようですね。
芦屋市の給食は美味しいと評判ですが、網走の「監獄食堂」のように一般の人でも食べられる所があればいいですね。
その収益の一部を学校給食の予算に回せば、1食250円の制約が少しでも緩和されるのではないかと思いました。
一般の人向けに500円くらいで提供すれば受けるのではないかと思います。